日経平均の予想

Tuesday, May 21, 2024

[2023/05/21]今後の日経平均の見通し

[市況]

520日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。521日の日経平均先物は、前日比210円高で寄り付くと、午前中は290円高から20円高と上昇幅を縮め、午後は130円高から170円安と下落に転じて、結局、130円安で取引を終了しました。日経平均の終値は122円安の38946円で、出来高は15.77億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を6日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。

 

520日の米国市場では、前週末にNYDow4万ドルの大台に乗せた達成感や、短期的な過熱感が意識され、主力株の一部に利益確定の売りが出ました。JPモルガン・チェースが大幅安となったことも指数の重石となりました。一方、半導体関連株をはじめハイテク株が買われ、投資家心理を支えました。結局、NYDowは反落し、NASDAQ3営業日ぶりに反発して過去最高値を更新しました。

521日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが波及しました。ただ、国内長期金利の上昇などが重石となり、指数は次第に伸び悩みました。午後には株価指数先物に手じまい売りが出て、現物株を押し下げました。結局、日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+13.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+11.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が820円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+2.6ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1010円ほど割高であることを示しています

 

日経VI17.11と前日より低下し、VIX12.15と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.36ポイント(日経平均換算で102470円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.6%増で、市場予想の2.4%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、4月のISM製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、4月の鉱工業生産指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の消費者物価指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は210負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.5万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。また、失業率は3.9%で、前月の3.8%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、515 5.5909% 516 5.5873% 517 5.5874%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.64PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.9%で、こちらは3か月前より10.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%で、日経平均の割安幅は630円から610円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1280円から-520円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.45ポイントから3.47ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

521日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。オートゾーンやロウズ・カンパニーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインを250円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39460円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在38600円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。一方、信用の売り圧力は、やや強まりました。きょうの日経平均は反落しましたが、上昇基調が変化したとは言えず、引き続き、ボリンジャーバンド+2σを超えられるかどうかが、目先の注目点です。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のバナーをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Monday, May 20, 2024

[2023/05/20]今後の日経平均の見通し

[市況]

517日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。520日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は40円安まで下落したのち720円高まで上昇幅を拡げ、午後は550円高から280円高と上昇幅を縮めて、結局、330円高で取引を終了しました。日経平均の終値は282円高の39069円で、出来高は18.04億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を5日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

518日の米国市場では、FRBが年後半にも利下げ姿勢に転じ、米経済がソフトランディングに向かうとの期待から、景気敏感株や消費関連株に買いが入りました。ただ、足元の株高の反動で利益確定の売りも出て、相場の重石となりました。また、エヌビディアの決算発表が意識され、主力ハイテク株の一部は売られました。結局、NYDowは反発し、過去最高値を更新しましたが、NASDAQは小幅に続落しました。

520日の日本市場では、米国株と比較した日本株の出遅れ感が意識され、運用リスクをとる動きが優勢となりました。日経平均が節目の39000円を超えたことで先物の売り方による買い戻しも入り、相場を押し上げました。一方で、日銀が金融政策正常化に舵を切るとの観測は投資家心理の重石となりました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+14.5%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+11.6%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が390円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+2.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が980円ほど割高であることを示しています

 

日経VI17.22と前日より上昇し、VIX11.99と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.2と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.32ポイント(日経平均換算で100820円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.6%増で、市場予想の2.4%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、4月のISM製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、4月の鉱工業生産指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の消費者物価指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は210負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.5万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。また、失業率は3.9%で、前月の3.8%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、515 5.5909% 516 5.5873% 517 5.5874%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.67PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より9.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%で、日経平均の割安幅は920円から630円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1400円から-520円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.43ポイントから3.45ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

520日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。ズーム・ビデオ・コミュニケーションズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを290円ほど上回り、下値は想定ラインを250円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在39540円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在38750円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は反発しました。ボリンジャーバンド+2σを超えられるかどうかが、目先の注目点です。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のバナーをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, May 18, 2024

[2024/5/19]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、4月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る伸びにとどまり、FRBが利下げを先送りするとの懸念が後退して、株価指数は週間では上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.24%, NASDAQ:+2.11%, S&P500:+1.54%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.44ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER21.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER16.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.44ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER60.8程度になるか、又は、日経平均が143,360円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は104,580円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、104,580円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目。

  3月期本決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.9%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+2.1%となりました。3ヶ月前に比べて8.5%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.60から3.48と縮小して、ドル円は153円台から156円台の範囲でやや円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.78%下落しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.4%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.5ポイント劣ります。

  5月第2週は買い超しで、5月第3週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でしたが、②が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.7ポイント(日経平均に勘算すると660円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に1.8ポイント(日経平均に勘算する700円程度)割高です。

 

日本市場はNYダウに対しては強く、NASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 12.0 と低下しました。 日経 VI は 週間で 16.8と低下しました。米国市場は楽観的で日本市場はやや楽観的です。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。日経平均の総合乖離率は+12.4%となり、200日移動平均線との乖離率は+10.9%でした。2つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲のに在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンド。

日本市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。

 

為替市場を分析すると、202311月以来の150円台となっています。今週は155台から157台が想定されます。

 

今週の米国市場では、FRB高官の講演、FOMC議事録、S&P製造業・サービス業PMI、耐久財受注、新築・中古住宅販売件数などの経済指標が注目されます。決算シーズンは終わりに近づいており、エヌビディア、ターゲット、インテュイットなどの決算発表が予定されています。世界的には、中国の金利決定、英国や日本のインフレ率、日本、ユーロ圏、イギリスの製造業およびサービス業PMIが注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを210円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在39620円近辺)で、下値が25日線(現在38370円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、米国の経済指標が景気後退を示唆するか、利下げ時期にどう影響するかを検証する週となりそうです。決算発表に伴い、日本市場の個別銘柄は、強弱2極化しており、日経平均としては大きく上昇しづらい傾向が続きそうです。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のバナーをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Friday, May 17, 2024

[2023/05/17]今後の日経平均の見通し

[市況]

516日、NYDowNASDAQは下落しました。517日の日経平均先物は、前日比260円安で寄り付くと、午前中は360円安から80円安と下落幅を縮め、午後は40円安から210円安の間でもみあって、結局、150円安で取引を終了しました。日経平均の終値は132円安の38787円で、出来高は18.43億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

516日の米国市場では、FRBが年後半にも利下げを開始するとの期待や、企業業績の底堅さなどを背景に買いが先行しましたが、NYDowが節目の4万ドルに達すると次第に短期的な過熱感が意識され、主力銘柄の一部に利益確定の売りや持ち高調整の売りが出て相場を押し下げました。長期金利の上昇も重石となりました。結局、NYDow3営業日ぶりに反落し、NASDAQ4営業日ぶりに反落しました。

517日の日本市場では、前日の株高の反動で、利益確定の売りや戻り待ちの売りが先行しました。午前10時頃、日銀が定例の国債買い入れオペで購入予定額を前回から据え置いたと伝わると、海外勢が先物に買いを入れ、現物株を下支えする形となりました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に振れたことも、輸出関連株には追い風でした。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+12.4%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+10.9%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.9ポイントと前日比横ばいで、日経平均が740円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+2.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が810円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.79と前日より低下し、VIX12.42と前日よりやや低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.3と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.31ポイント(日経平均換算で94200円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.6%増で、市場予想の2.4%増を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、4月のISM製造業景況指数は市場予想と一致しました。一方、4月の鉱工業生産指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の消費者物価指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は210負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.5万人増で、市場予想の24.0万人増を下回りました。また、失業率は3.9%で、前月の3.8%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了を決定しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、513 5.5839% 514 5.5883% 515 5.5909%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.44PBR1.46となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.8

%で、こちらは3か月前より8.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.4%で、日経平均の割安幅は520円から920円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1650円から-520円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.41ポイントから3.43ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

516日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを360円ほど下回り、下値は想定ラインを70円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在39200円近辺)が上値の目安に、25日線+100円(現在38470円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。きょうの日経平均は反落しました。日足は陽線となり、緩やかな上昇傾向は続いていますが、上値の重い展開はまだ続きそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のバナーをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート