日経平均の予想: [2010/05/11]日経平均の今後の見通し

Tuesday, May 11, 2010

[2010/05/11]日経平均の今後の見通し

[市況]
10日の、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。11日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付きましが、前場は売り買いが拮抗していましたが、後場は売りが優勢となりました。最終的に140円安で終わりました。日経平均は119円安で引け、出来高は27.1億株と増加しました。寄り付き前の外国人の売買注文は、1050万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては「売り」が有利な状態ながらボトムアウト感があります。
10日の米国市場では、EUとIMFは、ユーロ導入国が財政危機に陥った場合に発動する最大7500億ユーロの緊急融資制度の創設で合意したことや、ECBが債券市場への介入などを発表したことなど、欧州の信用不安への対応策で、市場の不安が一服するとの期待が広がりました。前週末までの下げ幅が大きかったことから、景気敏感株を中心に買い戻しも入りました。
11日の日本市場では、米国市場の大幅上昇を受けて朝方は買いが優勢となりましたが、みずほFGの増資観測などが重しとなり、盛り上がりに欠ける相場となりました。後場に入ると、ユーロが伸び悩んだほか、主要経済指標を発表した中国の金融引き締め懸念も意識され、下げに転じました。その後も先物へ散発的な大口売りが続き、終盤にかけても下げは止まりませんでした。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期トレンドは赤信号が点灯しています。総合乖離率は-7.1%とマイナス幅を拡げました。200日線との乖離率は+0.8%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下に抜けました。1つの要素がプラスですので、中期的トレンドは黄信号が点灯しています。また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、75日線、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。
NYDowは200日線、75日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQは、200日線、75日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から青信号に変りました。
テクニカルな指標である、日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が6.4ポイント割安であることを示しています。日本市場の割安幅は6.0ポイント拡大しました。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2010年の予想実質GDP伸び率の日米差を反映した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が2.1ポイント割高となっています。
市場は現在、「米国の景気と雇用状況と金融規制の影響」、「欧州の財政赤字国の拡大とユーロ安の行方」や「中国の金融引き締めの影響」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。米国の1月~3月期のGDPは予想どおりの伸びでしたが、米企業の1月-3月期決算発表は、概ね好調でした。経済指標では、4月の連銀製造業景況感指数、4月の景気指数、消費者信頼感指数、4月のISM製造・非製造業景況感指数、小売売上高は市場予想を上回りましたが、4月の消費者態度指数、3月の鉱工業生産指数は低下しました。4月の失業率は9.9%と増加したものの、雇用者数が29万人増と事前予想より多くなり2月連続で改善傾向を示しました。一方、住宅関連では、3月の新築一戸建て販売件数が前月比26.9%の大幅増となり、市場予想を大幅に上回り、3月の住宅着工件数も3ヶ月連続で改善しました。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数も改善傾向でした。3・4月の景気指標は改善傾向ながら、消費者マインドは横ばいのままのようです。中国の不動産高騰に伴う金融引き締めや元の切上げ観測の影響も、まだ注視する必要がありそうです。
米大手銀行の好決算が相次ぎ、資本不足問題は、一旦解消したものの、変って、ギリシャを初めとするEU各国の財政赤字拡大が債務不履行懸念を生み、新たな金融不安が生じています。EU各国は緊急支援基金の設立で合意しましたが、これで、沈静化するかどうかは不透明です。さらに、英国・米国のソブリン・リスク問題も議論され始め、長期金利への影響や金融機関の業績悪化と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下、FRBの低金利政策は継続されています。引き続き、金融機関の株価の推移や企業業績の推移に留意することが肝要です。
ちなみに、シティグループの株価は10日、上昇しました。(昨年1月高値7.59ドル・昨年3月安値1.02ドルに対し、現在4.22ドル)。
一方、日経平均採用銘柄全体では、予想PERが22.5、PBRが1.30、ROEが5.8%となっています。

[今後の見通し]
日経平均は、米国市場の大幅上昇にも関わらず下落しました。その結果、NYDowに対する日経平均のプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.6%%となり、日経平均は280円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ1週間、-400円~+200円の間で推移しています。日本市場は、今夜の米国市場の下落を先取りして下げました。今日の日経平均の水準は今夜のNYDowが300ドル程度の下落は織り込み済みであると考えられます。今夜の米国市場では、アジア市場の流れを止められるか否か、また、3月の卸売在庫や消費者信頼感指数などの経済指標発表が注目されそうです。ユーロの動きを見る限り、ソブリン・リスクの根本原因である財政健全化の道筋が見えないとユーロは簡単に戻らないと解釈できそうですので、簡単ではなさそうです。加えて、中国の金融引き締め懸念や、米国市場の異常な急落の原因がはっきりしないことがまだ影響しているように思われます。本格的な反転の為にはこの3点がはっきりすることが必要なようです。目先はソブリン・リスクの影響による乱高下が続きそうです。


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