日経平均の予想: [2011/02/20]米国の財政破綻はあるか?

Saturday, February 19, 2011

[2011/02/20]米国の財政破綻はあるか?

米国政府の負債の多さを議論するときに、主な貸し手は誰かを推測する必要があります。米国政府の負債は誰かが貸しているから成り立っている訳です。
これを明らかにするのに役立つものに資金循環統計があります。米国ならFRBが、日本は日銀が定期的に発表しています。
この統計は、個人部門、非金融企業部門、政府部門、海外部門に分けて負債と金融資産を集計し負債合計と金融資産合計が同額になるように作られています。つまりバランス・シートになっています。
世間では個人の資産と政府の負債のみに注目した報道や議論が多く見られますが、バランスで見ないと本当の負債の大きさや本当は誰が貸しているのかが判りません。
そういう意味で、資金循環統計は誰でも見ることができる貴重な統計と思います。従来、米国は政府も個人も借金が多くこれは外国からの投資で賄われていると云われてきました。
事実、2007年まではそのような構造でした。ところが、2010年の資金循環統計を見ると、リーマンショック以来、米国政府部門こそ、ネットの負債は増加を続けGDP比約10%まで増加していますが、これをカバーしているのは海外部門ではなく主に個人部門(ネットの資産がGDP比約5%)であることが判ります。
残りは海外と企業部門です。これは不動産バブルが弾けて個人と企業の負債が大幅に減り、海外と政府におしつけたと解釈できます。
また、政府部門の主な貸し手は海外部門から個人部門に変わったことになります。かなり日本の構造に似てきました。ちなみに日本の政府部門のネットの負債は500兆円でGDPの約100%です。
金融バランスでみると米国政府の負債は日本と比べると、まだまだ小さく、貸し手は自国民であることを考えると、米国が破綻に近い国とは、決して、云えません。
皮肉な言い方をすれば、リーマンショックとは不動産を担保とした米国の個人負債と企業負債を外国人と米国政府に肩代わりさせた事件と読み解くことができそうです。
不動産価格が戻れば(そう簡単には戻りそうもあるませんが)、米国全体としての金融資産はネットで以前より増えそうです。さすが、基軸通貨金融大国ですね。



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