日経平均の予想: [2011/05/08]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

Saturday, May 07, 2011

[2011/05/08]今週の日経平均の見通しと投資スタンス

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場は、週末の雇用統計は好材料と受け止めたものの、景気や雇用関連指標の悪化で、下落しました。一方、中長期的には、先進国の緊縮財政による消費や雇用の改善の遅れ、欧州の財政問題からの金融不安再燃による信用収縮懸念、資源高騰に伴う新興国の利上げによる景気後退懸念や中東の地政学的リスクが、今後も相場の足を引っ張る原因となる可能性が残されています。
2011年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は日本市場の下落で0.5ポイント割安となりました。その要因はS&P500のPERが14.0で、東証1部平均のPERの16.4との差と日米金利差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、震災の影響で日本の2011年のGDP予想値が0.3%下がり、2011年度の企業業績が2010年度予想値より3%程度下がることが織り込まれているとも解釈できます。


[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP、
③日米の金利差の拡大、
④日本の2011年GDP予測値(現在+1.7%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、
最近の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陰線となりました。今週は、原油価格下落の行方や米中戦略・経済対話、4月の小売売上高の発表などが株式相場に影響しそうですが、もみ合う相場が続きそうです。
② 日経225採用銘柄の今期予想増益率は38%となり、今期ROE予想値は7.9%から7.2%へ悪化しています。
③ 日米とも長期金利は上昇傾向ですが、日米の金利差は2.09%~2.01%と縮小傾向で、為替は81円から79円台と円高方向の動きでした。今週は81から79円台でのもみ合いが予想されます。
④ OECDによる日米の2011年の実質GDP伸び率は日本が+1.7%で、米国は+2.2%と予想されていますので、この面では日本市場にとって0.5ポイント分の弱気材料です。ただ、震災の影響は考慮されていない数字ですので、日本は0.3%程度の低下はありそうです。
⑤ 4月4週はと5月1週は買い越しだった可能性が高く、今週も買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち⑤が強気材料で①③④が弱気材料でした。今週は、①③⑤と地震災害による②④が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、9.4ポイント割安となり、先週比2.6ポイント割安幅(弱い動き)が縮まりました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。200日移動平均線乖離率は+0.4%となり先週と比較してプラス幅は変わりません。総合乖離率は+0.1%となりプラス幅は変わりません。3つがプラスですので中期トレンドは、”青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在りますので、短期的には"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dowは200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には黄信号"で中期的には"青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場は、不動産市場の低迷、北アフリカ・中東政情不安、資源高、新興国の利上げなどのリスクは後退しているものの景気・雇用指標の停滞が見え始めました。ただ、好材料としては、FRBによる金融緩和が継続する見通しの中、好調な企業決算の発表が続いている点が挙げられます。テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドですが、短期はもみ合いとなっています。日本市場は中期・短期とも上昇トレンドにを維持しています。
目先の状況を分析すると、EUの財政問題についてはLIBORのドル3ヶ月物金利は低水準横ばいで、まだギリシャ・ショック以前の水準です。今のところ欧州の金融不安には繋がっていません。一方、先週の日米金利差はバーナンFRB議長の緩和的な金融政策継続発言で縮小し、為替は円高ぎみの動きが続いています。
今週の米国市場では、3月の貿易収支、4月の小売売上高、5月のミシガン大学消費者信頼感指数などの経済指標の発表が注目されそうです。先週の日経平均はドルベースではNYDowの動きより強い動きが継続しています。今週の日経平均も、米国市場や為替の動きを睨みながらの展開が続きそうです。米国市場では目先は調整局面を迎えていますが、週末も雇用統計が好材料と受け止められましたので、過度な警戒感は後退したと思われます。一方、日本市場では、3月期決算発表が結果を本格化し、震災の日本経済に与える影響の大きさが決算発表の内容にどう反映されるかが、今後の重要な要素となりそうです。テクニカルな視点での日経平均は、今のところ、200日線が下値支持線になっていますので、6日の窓埋となる9940円までの戻りが実現すれば、短期上昇トレンドは維持される可能性が高まりそうですが、200日線を割る展開となった場合は雰囲気は一転しそうです。


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