日経平均の予想: [2013/05/23]今後の日経平均の見通し

Thursday, May 23, 2013

[2013/05/23]今後の日経平均の見通し


[市況]
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日のNYDowNASDAQは下落しました。23日の日経平均先物は、前日比80円高で寄り付き、午前中は290円高と130円安の範囲で乱高下する動きでした。午後は1190円安まで急落する場面がありましたが、結局1080円安で取引を終わりました。日経平均の終値は1143円安の14483円で、出来高は76.55億株と最高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は290万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。
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日の米国市場では、買が先行しましたが、バーナンキFRB議長の議会証言後に量的緩和策に伴う月々の資産購入規模を早期に縮小するとの観測が浮上し、下げに転じました。
23日の日本市場では、朝方は円安を受け買いが優勢で始まり、日経平均は15900円台に乗せる場面があったものの、中国の5月のPMIの悪化をきっかけとして、先物主導で利益確定売りが膨らみ日経平均は13年ぶりの急落で15000円を大きく割り込みました。日中値幅は1260円となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は+51.2%でプラス幅が縮小しました。200日線との乖離率は+36.2%でプラス幅が縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線の上に在りますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が25.8ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場の割高幅は9.8ポイント縮まりました。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2013年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.3ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 1.01イント割高です
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の可能性」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の景気と金利動向」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の10-12月期のGDP確定値は年率+0.4%と改定値から0.3ポイント上方修正となりました。1-3月期の米主要企業の決算発表内容はまちまちな内容です。
経済指標では、5月のミシガン大学消費者態度指数速報値、4月の小売売上高、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りましたが、5月のフィラデルフィア連銀景気指数、4月の鉱工業生産指数、5月のニューヨーク連銀景気指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4ISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注は予想以下でした。
4月の雇用統計は就業者数が前月比16.5万人増で、市場予測の14万人増を上回りました。失業率は先月の7.6%から7.5%に改善しました。
一方、住宅関連では、4月の住宅市場指数、3月の仮契約住宅販売指数、3月の新築住宅販売件数は予想以上でしたが、4月の中古住宅販売は予想以下ながら高水準で、4月の住宅着工件数は予想以下でした。2月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で1.2%上昇し、市場予想の0.9%上昇を上回りました。13ヶ月連続の上昇となり改善傾向が続いています。
雇用と住宅関連は回復しつつあるものの雇用は低水準で、金融緩和継続の主な原因となっています。また、中国のPMIとユーロ圏PMIが低迷しており、世界経済の先行き不透明感は残っています。
ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字による国債の金利上昇は一服しているものの金融システム不安再燃への懸念を残しています。また、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされましたが、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の不良資産の増加と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRBは無期限のQE3の実施12年先のインフレ見通し2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで短期金利を超低金利で維持すると表明しました。また、ECBは無制限の国債買い入れを発表し、日銀は1月に2%のインフレ目標設定と2014年から毎月13兆円の金融資産を無制限に買い入れることを決めましたので、通貨安競争となっています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが肝要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移は0520  0.2731% 0521  0.2741% 0522  0.2731%となり、過去14ヶ月は低下傾向です。直近6ヶ月も緩やかに低下傾向です。2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ2年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、3月期決算発表に伴い、予想PER16.0PBR1.37ROE8.5%と業績は改善傾向です。

[
今後の見通し]
日経平均は、為替が円高方向に大きく動き、NYDowの下落率以上に下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.4%となり、日経平均は350円の割安で、割安転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-460円 ~+1020円の間で推移しています。日本市場は、短期的にはドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていましたが、今日は急減速し弱い動きに転換しました。
一方、日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割高で、ファンダメンタルにも割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.20と拡大したものの、ドル円は、円高方向の動きでした。直近の米国長期金利は上昇し、円安圧力は強まりました。
テクニカルには、米国市場は、中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。
ファンダメンタル面では、EU政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となり金融危機が再来するか否か、世界の景気は拡大か後退か、米国の金融緩和は続くか否かが、今後もテーマとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は昨年年初から低下傾向で、直近の金利も緩やかに低下傾向です。これは、キプロスやギリシャのユーロ離脱やスペイン・イタリアの不良債権問題への懸念は後退し、EUの金融不安は当面回避されていることを示しています。また、米国の住宅指標は改善方向で、直近の雇用統計は予想以上となりましたが、経済指標はまちまちで、1-3月期の決算内容もまちまちでした。世界景気の減速懸念は完全には払拭出来ていません。ただ、この状況が、米国の金融緩和が終了するとの懸念を後退させている点が株式市場にはプラスに作用しています。このような相場環境の中、23日の米国市場では新規失業保険申請件数、4月の新築住宅販売が注目されそうです。
今日の日経平均の上値は想定したボリンジャーバンド+2σを大きく上回り、下値はボリンジャーバンド+1σを大きく下回りました。目先の日経平均は上値が上昇中のボリンジャーバンド+1σ(現在14980円近辺)で下値が25日線(現在14250円近辺)の間での動きが想定されます。25日線乖離率が1.7%で過熱感は無くなりました。




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