日経平均の予想: [2013/06/21]今後の日経平均の見通し

Friday, June 21, 2013

[2013/06/21]今後の日経平均の見通し

[市況]
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日のNYDowNASDAQは大幅下落しました。21日の日経平均先物は、前日比320円安で寄り付き、午前中は350円安と110円安の範囲で下げ幅を縮める動きでした。午後はプラスに転換して上昇が続き、結局340円高で取引を終わりました。日経平均の終値は215円高の13230円で、出来高は33.41億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は520万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です
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日の米国市場では、株高の原動力であったQE3が年内にも縮小されるとの恐怖が市場を駆け巡り、株式だけでなく、安全資産とされる国債や金、原油などの国際商品まで、あらゆる金融資産が売り込まれました。
21日の日本市場では、米国市場でNYDowが今年最大の下げ幅を記録したのを受け、日経平均は朝方に12702円まで下落しました。ただ、その後は先週末の終値12686円を下回らなかったこともあり、徐々に先物主導で買い直される展開となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は25日線の下に在り、9日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+15.0%でプラス幅が拡大しました。200日線との乖離率は+19.2%でプラス幅が拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の下に在ります。2つの要素がプラスですので、中期トレンドは黄信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は200日線、9日線の上に在りますが、25日線の下に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が13.2ポイント割高(強い動き)であることを示しています。日本市場の割高幅は4.3ポイント拡がりました。

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ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2013年予想実質GDP伸び率の日米差(-0.3ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、日本市場が米国市場に比べ 0.81イント割安です
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の可能性」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況と追加金融緩和の行方」、「欧州の債務問題による金融不安の再燃」、「新興国の景気と金利動向」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の1-3月期のGDP改定値は速報値の2.5%から2.4%に下方修正されました。1-3月期の米主要企業の決算発表内容はまちまちな内容です。
経済指標では、6月のフィラデルフィア連銀景気指数、6月のニューヨーク連銀景気指数、5月の小売売上高、5月のISM非製造業景況指数5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りましたが、6月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値5月の鉱工業生産指数、4月の製造業受注、5ISM製造業景況指数は予想以下でした。
5月の雇用統計は就業者数が前月比17.5万人増で、市場予測の16万人増を上回りましたが、失業率は先月の7.5%から7.6%に悪化しました。
一方、住宅関連では5月の中古住宅販売、6月の住宅市場指数、4月の仮契約住宅販売指数、4月の新築住宅販売件数は予想以上でしたが、5月の住宅着工件数は予想以下でした。3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で1.1%上昇し、市場予想の1.0%上昇を上回りました。14ヶ月連続の上昇となり改善傾向が続いています。
景気、雇用と住宅関連は回復しつつあり、低金利は当面継続されるものの、量的緩和の年内縮小が表明されたことが世界的な金融商品下落の主な原因となっています。また、中国のPMIとユーロ圏PMIが低迷しており、世界経済の先行き不透明感も残っています。
ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字による国債の金利上昇は一服しているものの金融システム不安再燃への懸念を残しています。また、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされましたが、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響や金融機関の不良資産の増加と投資家のリスク許容度の低下が、今後も懸念されます。このような環境の下で、FRB12年先のインフレ見通し2.5%を上回らない限り、失業率が6.5%以下になるまで短期金利を超低金利で維持するとしていますが、量的緩和の年内縮小を表明しました。ECBは無制限の国債買い入れを発表し、日銀は1月に2%のインフレ目標設定と2014年から毎月13兆円の金融資産を無制限に買い入れることを決めていますで、ドルの独歩高の様相が顕著となっています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利の推移0618  0.2722% 0619  0.2717% 0620  0.2725%となり、過去15ヶ月は低下傾向です。直近7ヶ月も緩やかに低下傾向です。2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ2年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、3月期決算発表に伴い、予想PER14.9PBR1.27ROE8.6%と今期業績は大幅な改善傾向です。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落にも拘らず上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.0%となり、日経平均は270円の割高で、割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-630円 ~+270円の間で推移しています。日本市場は、短期的にはドル・ベースでは米国市場に比べ、弱い動きが続いていましたが、今日は強い動きに転換しました。
一方、日経平均を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割高で、ファンダメンタルには割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要ですが、今日の長期金利差は1.54と拡大し、ドル円は、円安方向に動きました。直近の米国長期金利は上昇し、円安圧力は強まりました。
テクニカルには、米国市場は、中期はもみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期もみ合いで、短期ももみ合いです。
ファンダメンタル面では、各国の政府債務問題が欧米の銀行の不良債権となり金融危機が再来するか否か、世界の景気は拡大か後退か、米国の金融緩和は続くか否かが、今後もテーマとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は昨年年初から低下傾向で、直近の金利も緩やかに低下傾向です。これは、不良債権問題への懸念は後退し、金融不安は当面回避されていることを示しています。ただ、上海銀行間取引金利が急騰していますので中国の銀行に注意が必要です。一方、米経済指標、1-3月期の米国企業決算内容はまちまちで、世界景気の減速懸念も完全には払拭出来ていない中、米住宅指標と雇用状況は改善傾向となり、FRBは米景気を改善傾向と判断し、量的緩和縮小を表明したことが、株式市場にはマイナスに作用しています。このような相場環境の中、21日の米国市場では、重要な経済指標の発表は無さそうですので金融市場全体の動きが注目されそうです。

今日の日経平均は概ね想定した25日線とボリンジャーバンド-1σの間で推移しましたが、下値は想定値を一時下回りました。目先の日経平均の上値は下降中の25日線(13600円近辺)で下値はボリンジャーバンド-1σ(12780円近辺)の間での動きが想定されます。引き続き、為替の動きで乱高下するリスクが高そうです。


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